2013年12月15日 (日)

たぶん世界一忙しい男の映画

「世界一美しい本を作る男」という映画を観てきました。

 

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 その男は世界中を飛び回っている。
見本刷りを詰め込んだスーツケースを引いて、色とりどりのiPodを携えて。
印刷所で紙を測り、色の指示を出し、写真家に予算と部数を確認し、
デザイナーに会うためファッションショーの会場へ行ったかと思えば、
インタビューに答え、絵のモデルにもなる。

世界中で、彼に自分の芸術を本にしてもらいたいと、待っている人々がいる。


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ドキュメンタリーですが、記録映画という感じはしません。
ストーリーがあって、場面に合った音楽があって、忙しく飛び回る時間と、じっくり著者と向き合ってる時間と、自分を振り返る部分と。
モードを切り替えながらシュタイデルという人物を追っていきます。

 

 

本を作るにあたって、序文を入れるか入れないかだとか、写真集の版型や掲載点数は、編集者と相談して決めることですよね。
それから本文用紙や表紙の素材を提案したり、活版にするかどうかは、印刷屋さんによってコストもだいぶ違ってくるでしょう。どれくらい試し刷りをしてくれるのか、とか。たくさん刷ればどれだけ単価は安くなるのか、とか。

シュタイデル社はそれを全部やるのです。企画部、編集部、装丁室に印刷所まで、オールインワンの出版社。
すべてシュタイデル自身が著者と直接、やりとりをしながら決めていきます。ニューヨークでもカタールでも飛んでいきます。


「旅は好きじゃないけど、2~3カ月かかる仕事が4日で終わる。」と言いながら今日も、西へ東へ。

 

印刷所の掃除人だった父が持ち帰るさまざまな紙に触れながら育ち、17歳でシュタイデル社を立ち上げたといいます。

「出版業界の波が10年周期なら、うちの時代はもう終わり?」という不安ものぞかせつつ、「商業主義を象徴する」「悪趣味な」装丁のアイディアに嬉々として取り組む63歳。

その完全主義は、著者が写真の色についてアシスタント(?)と相談を始めれば、どんな嗅覚で嗅ぎつけたのか怖い顔で現れて、自分が来るまで待っていろと釘を刺す徹底ぶり。

かといって職人一辺倒でもなく、ベストセラーで上げた利益で芸術性の高い本を作ると公言してはばからない、商売人としての一面も見せます。

 

本を作ることに興味がなくても、「仕事」に取り組む姿勢が、そのまま彼の生き方を表現していると感じられる、かっこいい映画でした。

 

思いのほかロングランになったので、嬉しくなってもう一度観に行きました。

2回目で一番ウケたのは、ドバイの写真を見ながら話し合ってる場面で「ディズニーランド」という単語が聴こえてきたことです。
そこにあてられた字幕をみて思わず吹き出してしまいました!

 

 

 

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2013年9月18日 (水)

「風立ちぬ」を観た

宮崎駿監督の引退宣言が話題になっていますが、

その発表前に、観てきました。

鉄は熱いうちに打たなくちゃねぇ。

ご存知ジブリの最新映画です。子供向けの作品ではないといいつつも、、
カプローニが登場する夢の場面はファンタジーの世界で、
子供が見てもそれなりに感じるものはあると思います。

二郎さんがとても淡々として見えます。
妹にもたびたび「冷たい」と言われるほどなので、
もともと感情を表に出さない人という設定なのでしょう。
そういう意味では、「役作りしてない」と言う庵野さんの声、
適役だったのかもしれません。

トトロのときの糸井重里さんを思い出しました。
最初ちょっと、他の芸達者な声優さんたちとのギャップを感じてしまうけれど、
物語が進むにつれ、それは気にならなくなります。
二郎さんは熱いものを秘めてる人なんだってことが
わかる場面がいくつもありますから。

うれしいのは、画がほんとにきれいなこと。
緑といっても濃淡、ありとあらゆる緑が描き分けられているし、
下町の風景も、外国の夜の街並みも、木漏れ日も、草原も、
そこを吹き渡る風も、いちいち美しい。
ただリアルを追求してるわけじゃなくて、思いきり絵画的な、印象派みたいな表現もある。
この美しさを充分に味わうには、やっぱり劇場のスクリーンで見たいと思う。

もちろんきれいなだけじゃなく、怖い場面はちゃんと怖い。
関東大震災の場面、飛行機が撃ち落とされる場面、試験飛行が失敗する場面。
出てくる飛行機は美しいけれど、最後にはみんな落ちてしまうのです。
カプローニの夢の飛行機でさえも。

そこに、宮崎さんの反戦の意思を感じます。
この映画を、戦争賛美とは受け取らせないという強い思い。

ときどき差し込まれる、「格差」というか、「現実」というか、そんなところも印象的です。
出会いの場面で菜穂子が乗ってるのが二等車で、二郎は三等車とか、
貧しいなりの姉弟に二郎がシベリヤをあげようとして拒否されるとか。
そこからちょっと引いた眼で眺めれば、二郎のようには戦闘機を作っていた人たちは
兵隊に行かずに済んだのだということに思い至ります。

黒川夫妻が、慌ただしいなかでもきちんと儀式を執り行ってくれるところもよかった。
「けじめ」ってことですよね。面白い口上だったけど、あれは監督の創作?

たぶん私が気づいてないところにも、時代の真実みたいなものがあちこち
ちりばめられているのでしょう。

映画を観たあと、飛行機の美しさに心が高揚して、
つい、九試単戦のちいさな模型を買ってしまいました。Photo_2

完成品かと思ったら、自分で組み立てなくちゃならないの(汗)
エッチングモデルもちろん初挑戦。Photo_3

Photo_5 キャリオカのマスターに道具を借りて、教わりながら作りました。
おかげさまでどうにか、形になりました。。。。ありがとうございます☆

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2013年6月24日 (月)

目まぐるしく過ぎてゆく日々


もすこしゆるやかに流れてほしいと思うのです。

 

自分の思考や動作が緩慢になってきたせいでしょうか。

さて、土曜日に
dassenの創刊発表会をしました。

この集合写真。うれしいですね。

みんな、ありがとう。という気持ちになります。

ギンギラの蝶ネクタイをしているのが編集部員。

昨年末のツクソツでは、ぼんやりとした構想しか発表できなくて、

みんなを不安にさせたキャトルデニッチのプロジェクトも、
ようやく形になりましたよ。

 

ちいさなデザイン教室の初代生徒会長で、
肝心なところをきっちり決めてくれるブンチョさん。

 

チームのムードメーカーで、優柔不断な女子たちを急き立て
みんなのイメージをカタチにする作業を一手に引き受けた奉行。

だいたい、ざっくりした話し合いで満足しがちなメンバーの中で、
細かい部分を丁寧に詰めていってくれたうりちゃん。

メンバーのほかにも、ちいさなデザイン教室の仲間が、
いっぱい力を貸してくれました。

 

流れと勢いだけで「本つくりたい」という無謀なわれわれ素人に
雑誌作りの基礎を教えてくれたゴブちゃん。

かわいいイラストと似顔絵を描いてくれたあおいちゃん。
webを担当してくれることになった大将。

イメージ写真のモデルを引き受けてくれたハイジ。

そして、記念すべき創刊号の要となるインタビューに応じてくださった

つくし文具店の萩原修さんと「つくしのおばちゃん」。

 

 

この発表会のために、会場として使わせていただいた国立本店の皆様。

当日のノミクイ部門担当、
オリジナルドリンクにかわいい焼き菓子に、
おしゃれでおいしいおつまみを延々作り続けてくれたあべちゃん。

国立の皆様へのお知らせに尽力してくださり、
夜はスナックエルザと銘打って、

素敵なお衣裳と軽快なトークで盛り上げてくださったエルザ姐さん。

 

そのほか、お酒やらお菓子やら、いろいろ差し入れしてくださった皆様。

 

会場に足を運んでくださったすべての皆様、

来れなかったけど応援のメッセージをくださったり、

dassenに興味をもって連絡をくださった皆様。

 

みんなみんな、ありがとうございます。

dassenの旅は、始まったばかりです。

これからもどうぞ、温かく見守ってやってください。

http://dassen.me/  

無事に母のお骨も納め、気づけば七・七日の忌明けとなりました。

こちらもたくさんの方に支えていただいたおかげです。

ありがとうございました。

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2013年5月26日 (日)

栃木がとてもアツかった日のこと

5月18,19日の第4回とちぎ一箱古本市と栃木の出版文化展

おかげさまでお天気にも恵まれ(過ぎ!? 笑)無事に終了いたしました。

1日目・・・10組。 2日目・・・3組の店主さんが出店してくださいました。

日曜日にご来場いただいたお客様には、ちょっと物足りなかったかもしれません、ごめんなさいm(_ _)m

みなさんすっかり日焼けしてしまわれて、翌日職場で「海に行ってきたの?」と訊かれたそうです(^^ゞありがとうございました!

山車会館前の出版文化展も、ふだん本屋ではお目にかかれないディープな地元関連本や、

情報誌のバックナンバーが好評でした!

裏方さんで活躍してくれたボランティアの皆さんも、本当にありがとうございました。とっても助かりました!

同時開催の第6回 栃木・蔵の街かど映画祭では

19日にメインゲスト辻仁成監督が登場。

栃木高校講堂を満席にしての「その後のふたり~paris tokyo paysage~」上映とトーク。

監督は栃木の街をとても気に入ってくださったようで、ご自身のツイッターに写真付きのつぶやきをアップ。

会場はたいへんな熱気に包まれていました!(文化財登録建築で、冷房設備がないもので・・・(^_^;)

翌日のブログにも、この映画祭のことを交えて、映画の未来について書かれていました。

http://ch.nicovideo.jp/article/ar236165

そして夕刻からは、カフェなずなさんで フリーライターの北尾トロさんと 

コラムニストの えのきどいちろうさんのトークでした。

いつもは静かな店内に40人ものお客様が詰め掛け、

こちらも終始笑い声に包まれ、盛り上がっていましたよ☆

辻監督トークの模様と街なかイベントなど映画祭のダイジェストは

6月10日(月)~16日(日)の栃木ケーブルテレビ「CC9アワー」で放映される予定。

トロさんとえのきどさんのトークは

6月4日(火)21時より Ustream にて配信予定 → http://ustre.am/tLk6

当日は駅前のビールに誘惑されてしまった皆さんも、ぜひ、お楽しみください!!

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2013年4月 8日 (月)

春嵐の今宵はちょっと饒舌です

春の嵐が吹き荒れてます。
みなさまご無事でしょうか。

わたしは昨夜、近所のタリーズに飲み物を買い行き、
台風並みと言われていた割には雨風が静かなので、そのまま
なんとなく利根川の手前まで深夜のロングドライブとしゃれこみました。

それというのもきっと、ちょうどラジオで
スタレビのライヴが流れていたからかもしれません。


今夜は、雨は降ってませんがたいへんな強風です。
仙台のジュンク堂の純ちゃんは、強風で停まった新幹線に
閉じ込められて、やけ酒(ビール)をあおっていたようです。

第4回とちぎ一箱古本市は、まだまだ店主さん募集中です。

さて、いまや日本全国にひろがる一箱古本市の元祖、
「不忍ブックストリート」の、あたらしいMAPが届きました☆

古書ほうろうさんが荷造りしてくださったとの、
嬉しいメッセージ付き。ありがとうございます。

Map2013_2

とちぎでもこれを、配らせていただきます!

MAPみるとなんと、しのばずくんが代替わりしてます。

2代目しのばずくんは、忍者らしい。。。
この耳からして、正体は
谷根千を縦横無尽に暗躍する猫ですね。

看破ったぁあっ!

・・・さて、今月20日から始まる
不忍ブックストリートweekでは、
今年も30を超える楽しそうな企画が満載です。
おお、すばらしい。

MAPはおなじみブッククロッシングゾーンのキャリオカさんにも置いてきましたので、ご興味ある方は要チェックです。

とちぎも負けていられません。
いやべつに張り合う気はありませんが。

カフェなずなさんでは5月19日(日)
北尾トロさんとえのきどいちろうさんのスペシャルトークがございます!

そして、同日開催の第6回蔵の街かど映画祭
メイン作品は、パリ・キノタヨ映画祭で最優秀映像賞を受賞した
「その後のふたり」です。坂井真紀さん主演。

19日の上映後には辻仁成監督、ご本人が登場です。

キャノンの5Dなんたらいうデジカメで撮った映画だそうですよ。
いやもう、時代はそこまできてる。

そんな諸々を、ネットで宣伝させていただきます。
5月9日(木)の不忍ブックストリームに、スカイプでちょこっと登場予定。
この際いろいろ出しゃばります。

不忍ブックストリーム
http://www.ustream.tv/channel/shinobazubookstream

どうぞお楽しみに

すでにここを見ている人に宣伝しなくてもいい気が、、、

いいえ、わたしのとちぎ告知以外に、
楽しい本やイベントの話題がたっぷりなのです。

なので、みてくださいね~。

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2013年2月18日 (月)

とっても贅沢な夜でした

先日、渋谷で「その後のふたり ~Paris Tokyo Paysage~」という映画を見てきました。

物語は、15年も共にドキュメンタリー映画を撮ってきた恋人同士のおはなし。

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どこで歯車が狂い始めたのか、意見がぶつかってばかりのふたりはとうとう別離を選ぶ。女を東京に残し、男はパリへ。

やがて、その後のふたりを撮り続けようというビデオレターが東京からパリへ届く。
次々と。

それぞれの場所でそれぞれの景色を撮りながら、「その後」の時間が流れていく。
彼は新しい景色の中に新しい自分を探し、彼女は失った15年間の意味を探し続ける。
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パリと東京、それぞれの街で移ろいゆく季節が印象的です。

とくに、パリで主人公の純哉が暮らす部屋から見下ろす、幼稚園の庭。
大きなマロニエの樹が何本もあって、葉が繁り、花が咲き、
落葉して枝だけになり、やがて雪景色、、、

マロニエって、セイヨウトチノキのことなんです。
そう、栃の木。
一昨年の暮れに完成試写会で観た時すでに、
これ、栃木の映画祭でかけられたらいいなと思ってた。。。

映画の完成後、仁成は小説「その後のふたり」を発表しました。
といってもノベライズではなく、再会したふたりの言葉で、映画以前のふたりのことが語られる、いわばアナザーストーリー。

完成試写で一度本編を見ているので、映画で明かされていなかった(?)ふたりの関係に、驚くとともに納得。
後から書いたのに、取って付けたような感じではなく、「やっぱりね」という、とても不思議な感覚。

対話形式でつづられていくこの物語は、つい声に出して読みたくなる。
そう思っていたら、4月に朗読劇化されるそうです。いろんな役者さんの組み合わせで。それも楽しみ。

話がだいぶ先へ行ってしまいました。もとへ戻りましょう。

映画映が終わると、ステージには監督が登場。そして、公開日から6日連続で、日替わりゲストという贅沢な上映会。
私が行った日のゲストは江國香織さんでした。

仁成と江國さんといえば、一章ずつ交互に書きすすめた共著『冷静と情熱のあいだ』

その夜はなんと、『冷静と情熱のあいだ』を、それぞれの著者が交互に朗読してくれるというのです。
なんて贅沢なことでしょう。

そもそも私はラジオで仁成のファンになったので、
その「声」に一目ぼれしたといっても過言ではないのですよ。

仁成の声も個性的だけど、江國さんの声も、かわいらしくて、だけど色気があって大好きです。

おふたりは最初から結構うまが合うというか、
一緒に書いてて楽しいとのことなのですが、

思うに、
根が詩人なんです、ふたりとも。

しかも紡ぎだす詩のリズムが近いんですね。
ふたりの書く文章自体が似ているわけではないけれど。。。

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2012年5月26日 (土)

イベント無事終了。

第2回とちぎ一箱古本市 in 蔵の街かど映画祭 
おかげさまで無事終了いたしました。

1回目に出てくださった店主さんが、
快く出店を引き受けてくださったこと、

あまり大々的な告知をしなかったにもかかわらず、
はじめましての方々が、それぞれのアンテナで
情報をキャッチして申し込んでくださったこと、

とても嬉しく、ありがたく思います。

なんといっても2日間、お天気が良くて本当にありがたかったです。

会場に来て下さった皆さんは、いかがでしたか?
もしよかったら、声を聞かせてください。

また、映画祭と組ませていただき、
大きなイベントの動かし方、実行委員会の組織力など、
多くのことを学ばせて頂きました。
市の職員さんはもちろん、商工会や観光協会、地元の企業等
たくさんの方と知り合いになれたことも、大収穫です。

ノンフィクションライターの北尾トロさんが遊びに来てくださることになって、
豊島監督とのトークイベントに結びついたのも、素敵なご縁でした。

もちろん、いろいろ課題もありました。
たくさんのご意見を参考に、みんなで話し合い、
次回へ向けて、取り組んでいきたいと思います。

~~~~~~~

その他にも、このところいろいろ盛りだくさんだったのです。

忘れないうちに書かなくちゃ、書かなくちゃ。

さて、

ご心配をおかけしていた母のことですが、
今月中に、退院することが決まりました。

いわゆる寝たきりですが、在宅介護のために
胃ろうや尿道カテーテルのレクチャーも受けました。

病院から週1回、訪問看護に来てもらえるし、
ケアマネさんと相談して、ヘルパーさんとデイケアは
以前からのところにお願いすることにしました。

わたしや父が行ってもだいたい眠そうなことが多いのですが、
看護婦さんの声掛けには、笑ったり、答えようとするらしいです。
「おはよう」が言えたという証言(?)も。

人間、死ぬまで、あきらめちゃいけませんね。

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2010年2月 9日 (火)

「サヨナライツカ」

リンク: 中山美穂 大人の恋愛模様.

観てきました。
中山美穂さんは12年ぶりの映画主演ということですが、
ブランクは感じさせません。
やはり、美しい。むしろしっとり落ち着きを増したというか。

25年の時を隔てて再会する男女の物語なのですが、
老け方にちょっと無理が見えて、そこは映画として惜しいといえば惜しい。

もっとも、当初の撮影計画では25年後のシーンを先に撮る予定で、
西島秀俊は貫禄のついた姿になるべく10キロ以上太ったのに、
監督の意向かスケジュールの都合かわからないけれど
実際には順撮り(映画の流れどおりに撮ること)することになり、
急きょ、増えた分以上の減量をしなければならなくなったとか。

そして痩せたまま25年後の撮影に臨むことになったのを、すごく残念がっていました。
たしかに。

会社での会議の場面があるのですが、上司役の加藤雅也もけっこう作りこまれた老け顔で、セリフのテンポも(なにもそこまで、)と思うほどスロー。
その場面に、提携相手の社長か何かの役で、一人だけ本当に貫禄のある初老の役者さんがいたために、よけい不自然さが浮き立って見えて、あれは残念だった…

でも、全体的に見てこれは、イ・ジェハン監督が撮ってよかったですよ。素敵な映画になってます。
以前、日本人監督が撮ろうとしてとん挫した経緯もありました。
あれは多分、辻さんがあまり原作のセリフを変えてほしくなかったためかな?と思うのですが、
今回、驚くほど原作に忠実に、石田ゆり子はですます調でしゃべっていたし、
息子役のロック青年までが、「おやじはカッコ悪い」と言いながら、父親にむかって敬語で悪態ついてた。でもそれが、思ったほど不自然じゃなかったのが、不思議。

なにより、本物のオリエンタル・ホテルで撮影できたことが、成功の大きなカギになりました。
タイの風景も含めて、映像がとてもきれい。
この映画の重要なファクター「岐路」を象徴する場面で、河畔を疾駆するクラシックなベンツもまた然り。

随所に監督の粋なこだわりが感じられる、素敵な映画でした。
DVDになったら、また見ちゃうかも。

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2010年1月21日 (木)

影響、じわり。

市内に、書店を併設した大手のレンタルショップ(CD、DVD、コミック)が開店したのが去年の11月。
年を越すまではどこ吹く風だと思っていたけれど…やはりじわじわと影響が出始めてます。

それでも赤字を出さないために、店長はバイトのシフトを削って人件費を減らそうという作戦に出ました。
3人体制で、問い合わせがあるとレジのお客様をお待たせしたり、電話に出られなかったりで、精神的にも疲れます。

2月までは例年低迷期なので、仕方ない面もあるのですが。

景気の悪い話ですみません。

こんなときにおすすめの一冊を。
花森安治の『暮しのめがね』(中公文庫)です。

落語を聞いているみたいな、思わず音読したくなる文体。
山本夏彦さんをもっと過激にしたような辛口コメント満載で、
こういうのを読むとスカッとします。

中でも「サラリィガール十戒」という章は、現代の女性にも
通ずる内容で、勇気づけられるような気がします。

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2009年7月18日 (土)

「愛を読む人」観てきました。

映画を観てきました。

『朗読者』(ベルンハルト・シュリンク)が原作の、『愛を読む人』です。
原作を何年か前に読んでしまってますが、結論から言うと
わりと原作に忠実で、がっかりせずに観ることができました。

主演は「タイタニック」のケイト・ウィンスレット。
この作品でアカデミー賞を獲りました。
難しい役どころに、果敢に、かつしなやかに取り組んだという印象です。
ちょっとメリル・ストリープみたいになってきましたかね、、、
あんまり気負うと怖いおばさんになるから気をつけてほしいものです。

そしてドイツ出身の新星、マイケル役のデヴィッド・クロス。
普通っぽいけど、素人臭くない。
大げさでなく、ちゃんと表情豊かなところが期待持てます。
オーディション当時は16歳。
ラブシーンは彼が18歳になるのを待って撮影されたそうです。

舞台はドイツですが、全編英語です。
マイケルという名も、原作ではドイツ語読みのミヒャエル。
英語で撮ったのは、作品のテーマが普遍性のあるものだから、
という原作者の意向でもあったそうです。

物語をごく簡潔にまとめると、
①少年と年上女性のラブ・ストーリー。
②特殊な時代(戦時)の出来事を裁く法廷劇
③塀の中と外で続く交流
てな感じでしょうか。乱暴すぎますか。

法廷シーンのある映画は多いですが、
ドイツの裁判で、しかもホロコースト関連というのは
はじめて見たかもしれない。
日本でいえば「私は貝になりたい」みたいな裁判が、
戦後ドイツでも行われていたのですね。

原作の感想は、読んだ当時に書いたものがあるので、
あとで載せておきますので、よかったらそちらも読んでみてください。

原作には、ミヒャエルと父親とが法律議論する場面があります。
この作品のもうひとつ別の面が見えてくるでしょう。
ちなみに映画では、教授との対話がその代わりを果たしています。
この教授を演じているのがブルーノ・ガンツ。
「ベルリン・天使の詩」で人間になることを望む天使役を演じた俳優です。
マイケルら法学生に、常に疑問符を投げかけていく、味のある役どころで
ますます磨きのかかった存在感をみせています。

罪と罰。時代と法律。かなり重くて深いテーマですが、
ひとりの女性を年下のマイケルが見守るという構図によって
優しくて哀しい空気をまとわせた、上質な映画です。

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