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2014年8月

2014年8月18日 (月)

『路地裏の迷宮踏査』を読んだ

     本を読みたくなる本。それも、海外ものが。 

路地裏の迷宮踏査

  • 杉江松恋          
  • 東京創元社       
  • 1620円         

Amazonで購入
書評

かなり時間をかけて読んだ。合間にわざと他の本を読んだりしながら、一章ずつじわじわと、ときには後戻りしながら。だから、実質的には3回くらい読んだことになろうか。

一章読むだけで、いろんなことを知ったような気になるが、よくよく考えてみるとそうではなく、自分がいかになにも知らないかってことがわかる本なのだ。

何度も読み返して、その膨大なエピソードとエピソードの連鎖を自分の脳内に取り込みたくなる。

たとえば『青い鳥』といえばメーテルリンク。でも、青い鳥の原作が戯曲だということすら知らなかったし、日本で普及している子供向け『青い鳥』の原型を、あの『ルパン』のモーリス・ルブランの妹が訳していたなんて。あら?

そういえばメーテルリンクは英語圏の人ではない。

うっかりすると日本語以外はすべて英語のような気がしてしまうが、わたしたちが目にするガイブンの何割かは、作家の母国語から英語、英語から日本語の重訳になっているのだ。そんなことにも気付かせてくれる。

児玉清さんもおっしゃってました。ガイブン読みが高じると、翻訳でなく原語で読みたくなると。

英語すら読めないくせに、その気持ち、わからんでもないとさえ思う。

あるいは、イギリス文学によく出てくる「寄宿舎」のある学校やその出身者について。はたまたアメリカにおける人種意識等。カトリックとプロテスタントの違いすら、正直よく分かっていない。

これは自分が高校時代、いわゆる必修とばしで世界史を履修していないためなのか。いや、世界史の授業でもそんなことまでは教えない。単にガイブンを読んでいないということだ。

小学生のころは名探偵ホームズシリーズとか好きだったし、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』や『アクロイド殺し』は中学の時に読んだのになぁ。わたしのガイブン体験はそこから先へは進まなかった。

日本語の文章にはあまりない修飾語の果てしない追いかけっこや、思わせぶりでまどろっこしい倒置に辟易したからか。

後付けの理由なんかどうだっていいが、つまりはガイブンを楽しむのに必要な時代背景や社会の風潮といった基本的な知識が欠如しているってことにいまさらながら気づくのだ。

ああ、こういうことがすんなりわかればもっと面白いのにと、本書を読みながらついアレコレ検索してみるが、そうやってお手軽に得た知識は砂漠に撒いた水のごとく瞬く間に蒸発する。

だからこの本を反芻するのだ。あの作家はあの人をリスペクトしていたとか、あの名作はこのヒトのこういう作品に触発されて生まれたとか。文学にも歴史ありだ。ワクワクする。

本を読むことは好きなのに、最初の何冊かでちょっとピントが合わなくて、これまで海外ものを敬遠してきたという人に、まずこれをお勧めしたい。

ミステリに限らず海外の文芸作品への好奇心を高めてくれる、絶好の案内書だ。

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2014年8月 5日 (火)

8月読書会のお知らせ

お暑うございます。
 
 
各地の図書館が、クールシェアスポットとして人気を集めているようです。
 
でもねー。涼しくて気持ちよくて、みんなのお昼寝スポットと化してますよcoldsweats01
 
 
 
まぁ、お家にこもって熱中症になるよりはいいでしょうが…
 
 
 
 さて、蔵の街読書CAFEでは、8月も読書会を計画しています。
 
 今回は、蔵の街のメインストリートにできた雑貨屋さん、MOROcraftさんの店頭を、
 
 閉店後の一時間、読書会のために貸してくださることになりました。
 
 
 
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       【8月の読書会】
 
               日時:2014年8月24日(日)  19時~20時
 
               場所:栃木市倭町10-3 MOROcraft(雑貨店)
 
 
 
MOROcraftさんは、絵本やツバメノート、BIBLIO PHILICのブックスタンドなど、
 
 
本に関するモノもいろいろ取り扱っていらっしゃるお店です。
 
この空間で、本の話ができたら素敵だなぁと思います。
 
はじめましてのかたも、お久しぶりのかたも、どうぞ、お気軽にお出かけください。

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2014年8月 2日 (土)

7月読書会のご報告

8月になりました。

先日の、読書会のご報告です。

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今月の参加者は、はじめましてのかたがひとり来てくださって、5名でした。

ありがとうございます。こうしてささやかでもながく続けていければいいなと思います。

←この画像は、先月の東京国際ブックフェアのときのものです。

毎年開催していて、応募作を実際手に取ることができるので
とてもたのしみなのです。

読書会でも、そんな「本の外側」に関する本の紹介があったので。。。




紹介されたのはこんな本たち。


『装幀の美』アラステール・ダンカン(同朋舎出版)

『本の美』別冊太陽,日本のこころ53(平凡社)

この2冊は「本の外側好き」なメンバーたちがかなり食いついてました。


上の本はフランス装が中心で、革のデザインの多様性に目を奪われました。

別冊太陽のほうは、日本の本。
  
いまのようにブックデザイナーやアートディレクターといった専門家がいたわけじゃなく、
 
作家本人や編集者が、画家、版画家として第一線にいた人と一緒に本を彩っていた、幸せな時代の作品が多数。



『すっぽん心中』戌井昭人(新潮社)

これも印象的な装画ですが、戌井さんの書くものは会話がうまくて、淡々としているけど引きこまれます。




『この世界の片隅に』こうの史代(双葉社)

夏になると日本人は、あの戦争のことを思い出す。
いや、いつも心の底にはあるけれど、やっぱりこの時期になるとメディアでも取り上げることが多いので、そういう気分が増しますね。

便乗だとしても、きちんと考えるきっかけになるならいいことです。




『おじさん図鑑』なかむらるみ(小学館)

軽く読めて笑って、心のコリをほぐしてくれそうな。
でも細かいとこまで実によく観察して、分析してる。その分析の部分がおもしろい!


~~~~~~~~~

順番が逆になりましたが、

人数が揃うまで、約ひと月前に行ってきた「東京国際ブックフェア」のことを話してました。

「農文協」ブースで売られていた「竹紙ノート」や



実物を手に取ることができるので毎年楽しみにしている「造本装丁コンクール」のこと。




5年前に広島で出会った本屋さんが書店向けのセミナーに講師として登壇されたこと。



そして、長崎からひとりで出展されていた「畠山勢子」さん20140704_2

の「手製本」をみなさんに見てもらいました。


読書会は、今後いろんな場所に展開していく予定です。日程が決まったらまたこちらでもお知らせしますね。

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