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2013年12月

2013年12月28日 (土)

金さんの父が歩いた日光道

いま読んでいる下野新聞の新書『栃木文化への誘い』がやたらめったらおもしろいんだが、

途中で調べたいことがどんどん出てきて、はかどらないことこの上ない。

 

遠山金四郎といえば、桜吹雪の金さん。

「散らせるもんなら散らして見やがれぃ」

 

あれはテレビのためにおもしろくしたフィクション

 

だけど

遠山金四郎が実在した人物であるのは確かなことで、

江戸の町奉行になった金さんの、父親もまた、

「遠山金四郎」だったって、知ってた?

 

ここら辺がむかしの名前のややこしいところ。

実名(諱-いみな-)は辞令や戸籍などの書類にのみ記すもので、

普段は通称や役職名を使ってたわけ。

ふたりは、親子で同じ通称を名乗っていたんだね。

 

諱のほうは、お奉行さまが遠山景元-かげもと-

お父上は遠山景晋-かげくに または、かげみち-

 

この金四郎景晋さんが、非常に優秀な方だったんだという話で。

40代の頃、第2回昌平坂学問所の学問吟味で237名中トップの成績を収め、将軍様から時服を拝領---ってつまり、ごほうびというか、特別ボーナスみたいなもんか?

 

その優秀さを見込まれて、1799年、蝦夷地(北海道)出張を命じられる。

当時はロシアから交易を迫られたり、アイヌ民族との間に軋轢が起こったりして、幕府は対策を講じるための調査団を派遣する必要に迫られていたんだ。

3月半ばに江戸を発ち、戻ってきたのは半年後。その旅のことを書いたのが『未曾有記』。

これ、図書館で読めたりすんのかな。いや、あったとしても原文のまま読むのは無理っぽいな。

 

金さん一行は日光道中、奥州道中を下っていったんだ。小山から宇都宮へと歩いていく途中、屋根に大谷石を使った建物を見かけて驚いたとか、帰路には日光で社寺参拝や史跡見物もしていたとか知ると、なんか親近感湧くね。

 

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2013年12月24日 (火)

平松さんでおなかいっぱい。

12/23

世間はノエル気分で浮かれておりますが、今宵我が家はおでんにうどん。NHKのニュースで天皇陛下傘寿のお言葉を拝聴し、洗いものを片付け、明朝のお米も仕込んで、いざ出陣。

 

銀座へサンドウィッチを食べに、じゃなかった『サンドウィッチは銀座で』を、ちょっとずつ、つまみ食いしながら楽しんできました。

平松さんの“食べる話”といえば、「しゃきしゃきの歯ごたえ」「かりっ、ふわぁと揚がった」「舌の上をほっほっと」などなど、、、胃袋を刺激する擬音が満載です。1話で充分満腹感(ときにはさらなる空腹感)をもたらすので、一気に読むと消化不良か胃酸過多を起こしそうな気がするんです。

しかしついに今夜は、残りを一気にたいらげる覚悟!といっても、車で15分くらいのところにある、シアトル系のカフェですけどね。もっと近くに別のチェーンカフェもあるのですが、こっちの方がひとくち目から飲みやすい温度で、猫舌のわたしには嬉しいのと、ソファーがレザー風じゃなく、布張りなのが高ポイント。端から一時間以上滞在するつもりですから、座り心地も重要です。

 

ええと、どこまで読んだんだっけ。

春の天ぷら、ビール、うなぎ、中華に社食。それぞれに、風土や季節感を盛り込み、人情のスパイスを絡めながら、食べ、飲み、また食べる。しかもたいてい、単品じゃないんですよね。わたしなんか、うな重食べようと思ったら他のものを頼む余裕は逆立ちしても出てこない。これだけ食べて、どうやってあの体型を維持しておられるのか。まったく尊敬します。

 

さて表題作のサンドウィッチです。

驚きました。格調高い純喫茶やパーラー、老舗洋食屋さんあたりはさもありなん。行ってみたい、食べてみたいと生唾飲んだ次の瞬間、えっ、そこはどこ?
和服のママさんが取り仕切る夜のお店で、サンドウィッチの出前とな!? 谷口シロー画伯の挿画もママさんと男性客がサンドウィッチをつまんで「うふっ」「くくく」と微笑み合うの図。しかもこれが、次の一杯を引き寄せる味とあっては、、、、ごくり。でも無理無理無理!このお店はわたしなんかが足を踏み入れていい世界じゃあない。素直に出前の出発地点を目指すことにします。

 

このあとひとり鍋から熊を食べに行く話。
折しも長野県に移住した季刊レポ編集長の北尾トロさんが、猟師になるために銃の免許を取得したことが話題になったばかり。

実はトロさんと平松さんはご近所さんで、仲良しらしいです。

 

平松さん!トロさんは猟師になりましたよ!鹿でも熊でも、いつか平松さんのために仕留めて、きっと御馳走してくれることでしょう。(ね、トロさん。。。)

 

そして五感を満たす旅は、昭和の老舗で佳境を迎えます。
上野のお山の大食堂で「東京の味」に浸り、織田作が愛した大阪グルメに挑戦しますが、、、いつまでもそこにあり続けると信じて疑わなかった店も、頑なに味を守り続けてきた店も、いつか消えてしまうことがあるのです。だからこそ、食べることで守りたい。この味を覚えておきたいと平松さんは言います。
この思いが本物だから、読むだけでこんなにも、温度や匂いまで伝わってくるのでしょう。我が身を顧みると恥ずかしいくらい、食べることに無頓着な自分に気が付きました。

 

 

最近、尾野さんと森山くんでドラマになってましたけど『夫婦善哉』って、貧乏と痴話喧嘩の話じゃなくて、大阪のうまいもん小説だったんですねー。いつか読んでみなくては。

 

 

おまけ。今夜えらんだラズベリーチョコレートパイの甘酸っぱさがストライクでした。

 





 

 

 

 

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2013年12月22日 (日)

ねぇ石川くん。

前回 俳句の話が出たので、ちょっと前に読んだ『石川くん』枡野浩一(集英社文庫)のことを書こう。

といっても、石川くんは俳句じゃなくて短歌詠みだったな。まぁいいか。

 

石川くんって、みなさんわかってると思いますけど、啄木のことですよ。念の為。

 

枡野浩一さんが、愛と尊敬を込めて持ち上げたり落としたり、貶めたりしてる本です。


文庫本で横書きで、朝倉世界一さんのかわいくて小憎らしいイラストが添えられて、

なんだか女子高生に手に取られたい感満載じゃあない?


とかなんとか思いながらヨソジのおばさんも手に取ってしまいましたよ。

 

この本で枡野さんは、啄木の短歌の現代語詠みに挑戦しています。

現代語“訳”ではなく、あえて“詠み”としたのは、

本文中で枡野さんが

石川くんの歌を自分の歌にしてしまおう!

そんなふうに、ひらきなおってみる

 と、書いているからです。

 

ちなみにこの枡野浩一さんという人は若い人にけっこう人気があるんですが、

こんなふうに偉大な先達をおちょくってみたり、自分の本に『くじけな』っていうタイトルをつけて、100歳の詩人・柴田トヨさんのベストセラー詩集『くじけないで』のパロディを気取ってみたり、
けっこうふざけたことをさらりとやってのけちゃう部類の歌人さんです。

ひょっとしてあれかな、新人類って言われた世代?

 

あ、そしてまた季刊レポつながりになっちゃうけど、この『くじけな』に、シュールと脱力の境界線ギリギリを行く挿絵を描いたのが、季刊レポのメインキャラ“レポたん(仮称)”の生みの親、後藤グミちゃんです。

最近北海道に引っ越して、「屋上で会いましょう」というブログをポチポチと再開されてますよ。

http://okujo.exblog.jp/

 

 

話を戻して、、、『石川くん』ですが、

熱心な啄木さんのファンならきっともう、この本が焚書に値するような内容だという噂はお聞き及びかもしれませんね。読まない方がいいかも、かなしくなったり腹が立ったりするでしょう。

それくらい、ある意味過激なんですけど、思わずプッと吹き出しちゃうんだなーこれが。

たとえば、すごく有名で、この本でも最初に出てくるヤツをここにひとつ引用します。

 

 

  友達が俺よりえらく見える日は

  花を買ったり

  妻といちゃいちゃ

 

 

教科書に載ってる貧乏短歌で、石川くんをイメージしてる人は、暴かれる本当の石川くんから目が離せなくなること請け合い(*^m^*

石川くんが、やたら自意識過剰でエエかっこしぃのくせに小心者っていう、「学年にひとりくらいいたメンドクサイ奴」設定でこきおろされてるのは、むしろ小気味いいです。

 

繰り返しますが、枡野さんは愛してますよ、石川くんを。

愛なくして、ここまで貶せません。たぶんね()

 

 

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2013年12月20日 (金)

12月読書会のお知らせ

おまたせしました!

蔵の街 “ごはんできたよ”読書会

暮れもいよいよ押し詰まってから(笑)開催します☆


これは、好きな本を紹介しあう気軽な集まりです。


むかし読んだ本で、いま手元になくても、
思い出だけ語っていただければOKですし、
シャイなあなたは、見学だけでもウェルカム♪

申し込み、参加費は不要ですが、
会場をご提供いただいてる「ごはんできたよ」さんに、
感謝の気持ちを込めて 1オーダーおねがいします。


ご参加、お待ちしています(*^_^*)


●12月28日(土)


  18:00からの予定となっておりますが、
  駐車場が埋まってしまうかもしれないので、
  お早めにお出掛けいただいた方がいいのかも…

会場は、カフェごはんできたよ (栃木市平柳町1-43-11)です。



と、言いつつわたしはその日まで仕事なので、
遅れての参加となりそうです。あしからず(^_^;)




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2013年12月19日 (木)

霧降文庫で買った本のこと

オリオン☆一箱古本市で出会いました。

いわゆる装丁買いというやつですなぁ。

元新聞記者さんの社会派な本棚にあって、一輪の花のように見えたのです。

 

『恋愛論』竹久夢二  太田出版

 

 

一目見てわかる特徴的な女性の絵があまりにもイメージを固定化してしまってますが、

むしろわたしは画業よりも、彼の図案家としての仕事を高く買っています。

ハンカチ、便箋などにプリントされた、草花や鳥の可憐なことといったら。眠る乙女心に火が付きますわ。(←意を決して女語尾)

 

そんな夢二の「言語分野」をまとめた本だと思われます。

 

よく見るといろいろ凝ってるんですよ。レタリング風の書名著者名を皮切りに、

表紙と見返しに使ってる水色のこんにゃくみたいな用紙とか、ドラマチックな口絵写真に乗せてる濃いピンクの文字とか。言葉の断片を区切るのにや☆を使うとか、章題の文字の大きさとか。

 

 

で、あらためてクレジットを探すと装丁は東良美季さん。

 

この名前、季刊レポ読者およびレポTV視聴者なら見覚えがおありかと思います。

 

北尾トロ編集長がライター特集でぜひにと執筆をお願いした記事で、ベテランライターの涙を絞り、若手ライターたちを震え上がらせた(?)ライターで編集者の東良さん。(とある情報源にはAV監督という肩書も発見!)

 

 

レポ最新14号の「80年代エロ本文化」特集で、本橋信宏さんとの深く濃い対談記事が掲載され、またもや話題を呼んでます。

 

 

そして構成・編集は森田富生さん。

 森田さんこそまさしく80年代のエッジィな雑誌を牽引した、白夜書房「写真時代」の創刊編集長ですよ。おふたりがタッグを組んでこの夢二本を作ったのは19937月のこと。
このあたりの雑誌界のディープな趨勢は、レポ14号で!(と、宣伝も挟んでおく)

 

それにしても絶妙なタイミングで出会ってしまいましたねぇ。本に呼ばれたなぁと、感慨もひとしおです。

 

最初にレポTV に登場されたときかな?新しい雑誌を作りたい、というようなこともちらっと言っておられたので、今後の活動展開も楽しみですね。

 

 

 

ところで『恋愛論』ですが、半分を少し過ぎたあたりに

 

 

「いいえ、希望なんてそんなに遠くありませんわ。あなたの足元に花が咲いていますわ。あなたのお国には、片袖にただなんとなく時雨かな、と言って右の足で左の足の跡を消しながら逃げ歩いて死んだ詩人がありましたのね」

 

 

という記述があり、右の足で左の足の跡を消しながらという表現がたいへん気になったので、ちょいと検索してみました。

 

 

 両袖にただ何となく時雨かな    惟然

 

 

『恋愛論』では「片袖」になってますが、おそらくこれが本歌というか、もとの句と思われます。

 

惟然というのは、商家に養子入りしたものの、商人に向かず、39歳で妻子を捨てて出家した人物。

芭蕉に心酔して門下となり、その最期をみとったそうです。

その後、芭蕉の発句を和讃に仕立てた念仏を唱えて諸国を行脚したとか。

すると「右の足で左の足の跡を・・・」というのは、この、ヒョウタンを打ちならしながら踊っているようにも見えたという風羅念仏のこととも思えます。

 

 

時雨の句がどんなシチュエーションで読まれたのか、また惟然がどんな亡くなり方をしたのかは分かりませんでしたが、久しぶりに会った娘を

 

 

おもたさの雪はらえどもはらえども

 

 

という句で拒絶して立ち去り、娘はその句で父の思いを察し、出家して傍に仕えたそうです。そんな逸話の残る惟然という人と、そこまでして求めた俳句の世界とは何だったのかに、興味がわいてきたところです。

 

 

夢二からはだいぶ脱線してしまいましたが、読書にはこんなふうに、横道に逸れる楽しさもあるということが、伝わっていたら嬉しいです。

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2013年12月18日 (水)

北青山の招き猫

その日はもうひとつ目的があり、
渋谷で映画を見たあと、来た道へは戻らず、青山方面へ。
編集会議のライター講座に通ってた頃を思い出しながらあちこち歩きまわれば、
全体の面影はあるものの、新しいビルが建ってたり、違うお店になってたり。
青学近くのオーガニックカフェでランチ。
なんてちょっとオサレな気分を盛り上げます、
じっさい腹が減っては戦が出来ぬのです。今日はとことん歩くと決めてきてますから。
目的というのは靴。それもブーツです。
ずっと黒のショートブーツ1本で過ごしてきました。
これは未成年のころ、親に百貨店で買ってもらったもの。
2回くらいかかとを貼り替えて、中敷き入れて、まだ履いてます。
いよいよくたびれてきたので、そろそろ選手交替かなぁと、探しに来たのです。
品揃えなら断然デパートのほうが豊富に決まってますが、
なんとなく、出会いを求めて歩きたい気分。
文字通りウィンドウショッピングで、靴屋はもちろん鞄がメインの革製品のお店やちょっと高級そうなセレクトショップ、スポーツ用品店まで、ショートブーツと見れば覗きこんでみるものの、なかなかイメージ通りのものは見つかりません。
イメージ。
デザインはシンプルで、つま先がとんがりすぎてなくて、ヒールが高くないもの。
とあるお店で、店員さんの履いてるのが素敵だなぁと思って聞いてみたところ、そのデザインは発売してひと月くらいで品切れになったとのこと。
しまった出遅れたか。
そりゃそうです。秋冬新作って、夏の終わりごろから出はじめるんですものね。
われながら、いい歳こいてそういう、ファッションシーズン(?)の流れを、まったく意識せずに生きていることをいまさらながらに実感させられました。
細い道に入りこんで、ふと気付くと、空き地の向こうに革製品のお店らしきものが見えます。
よし、あそこにも行ってみよう。
近づいていくと、招き猫ならぬ招き豹?がいます(笑)
革もののお店は独特な雰囲気のあるところが多いですね。
扉を開けると革の匂い。新品と一緒に、はきこんだ感じの靴も並べてあります。鞄や小物も置いてあります。
結論から言うと、ここで買いました。
ブーツが気に入ったのはもちろん、お店自体の空気感も良かったし、対応してくれたスタッフさんがとても素敵だったものですから。接客大事!!
店頭にあったブーツを履かせてもらうと、がっしりとした革で、すっぽりと包まれる足。
ふだんはいてる靴とは違う感覚だけど、あたって痛いとか、締め付けられる感じではありません。
新品を色違いで、それから、スタッフさんが実際にはきこんだものも、試し履きさせてもらいました。
「えっ、同じサイズですか!?」と、ビックリするくらい、柔らかくなって、履きやすいんです。
自分の足で歩くことによって、どんどんなじんでくると思うと、嬉しいというか、楽しみですよね。
黒ではなく、ダークブラウンにしました。
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けっこう硬いので、少しずつ慣らしていかないと。
短時間ずつ2回履いてみました。これからじっくり育てていきます(笑)

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2013年12月16日 (月)

『飲めば都』を読んだ。

忘年会シーズンだからというわけでもありませんが、
みなさんお酒はいける口ですか?

わたくしこれでも、そこそこたしなみますがあまり顔に出ないタチでして。
若いうちこそ冒険も致しましたが、最近はもう、おとなしいもんです。

先月、東京に出て久しぶりに会う仲間たちと盛り上がりました。

言っときますが、久しぶりに東京へ出たのじゃありませんよ。
東京へはちょくちょく行ってますが、そのとき会った仲間とは
久しぶりだったということです(田舎者の主張)。
そんなことはどうでもいいとして。
途中の駅に車を置いて電車で行ったのですが、
最寄駅から自宅は歩ける距離だし、車は通勤には使ってないし、、、
であれば飲んでもいいかな、となりますねぇ。


とりあえずのビールというのがあんまり得意でないものですから、
最初は軽めのカクテル系。
それから、九州料理のお店ということもあって、焼酎のお湯割りをいただきました。

まあしかし、そこは栃木まで帰らなければいけない身。
ほどほどにして、終電に間に合うように店を出ましたよ。

終電というのは都内を走ってるうちはかなり混んでますが、
利根川を越えるころにはたいてい座れるものです。

そして座ると一気に睡魔の餌食。
どこかの駅でドアが開いてスーッと冷気が吹き寄せ、
おぅ、寒いじゃないかと目を覚ませば、そろそろ降りる駅が近づいてます。
それじゃあ切符を出しておこう。(ええ、いまだに切符の人です)
あと、家の鍵はカバンの中だっけ、それともポケットに入ってたかな。。。

ん?   いえの、カギ?


そこではたと気付く

家の鍵は車の中に置いてきたのでしたー!

しかもこの日は遅くなることがわかっていたので、
父はショートステイでお世話になっていて、
つまり自宅にはだれもいないのです。

なんてこった。家に帰っても家に入れないなんて、悲劇だ。


そうこうするうちに日付も変わって栃木駅到着。
終電なのでホームや構内でもたもたしているわけにもいかず、
おもてに出れば寒風吹きすさぶ霜月の夜です。

とにかく、誰かに助けを求めねば。

この時間に起きていて、いまから車を出してくれそうな人。
とっさに頭に浮かんだ友人に、メールで《ごめんね、起きてる?飲んでない?》
すぐに電話が鳴りました。「飲んでないよ、なにかあった?」
ホッとしたのと情けないのとで、開口一番ぐへへへ、と笑うと「えー、泣いてるの!?」
いやはやまったく面目ない。これこれこうと事情を説明すると
あきれながらも笑って駆けつけ、車を置いている駅まで
往復で2時間近く、運転手を務めてくれました。

感謝感激、持つべきものは友ですな。
この友人もけっこうお酒が好きなヒトなので、叱りもせず足になってくれましたが、
彼女がこの晩飲んでなくて、ほんとによかった。




こんなふうな、お酒に飲まれた与太話のひとつやふたつ、
みなさんにも心当たりがおありでしょう。
そうして身に覚えがあるからなのか、
飲兵衛はたいがい酔っぱらいに寛大なのです。

わたしの失敗談はさておき、飲めば都ですよ。

スミマセンもう、前置きが長くて。

「え、前置きだったの?」という声が聞こえてきそうですが、
そうです。ここからが本の話です。
北村薫といえば、女性読者から「どうしてこんなに女ゴコロがわかるのか」と、絶大な共感をもって支持される魅力的なヒロインを生み出してきた作家さんですが、今回のヒロインは北村史上、かなりはじけてる部類に入るというか、要するに飲兵衛です。

その飲兵衛ヒロインが、都(みやこ)さんというお名前なのです。


出版社にお勤めの都さん。酔っ払いデビューは高校の卒業旅行。
職場の歓迎会で上司に絡む伝説を残し、いずれ劣らぬ酒豪の先輩たちにかわいがられながら、今日もあっけらかんと、ときにしみじみと、酒飲む日々をえがいたお話です。

都さん入社三年目のとある日。
九州出身の先輩に、九州料理を出す居酒屋へと連れて行かれる一夜が訪れます。
とりあえずビールのあとで、先輩に「飲みやすいでしょ」と勧められるまま黒糖焼酎をいただきつつ、持ち帰りの仕事もあるのでと、お先に失礼。
足がもつれながらも見慣れたドアに辿りつき、鍵を開けようと思ったところで、鍵どころかバッグまるごと、どこかに置き忘れてきたのに気付くというくだりがございます。



===やぁ、どこかで見たような展開デスネ。



奇跡的にも、お財布だけ握りしめていた都さんはタクシーを捕まえてお店に戻る。
というあたりは、花の都・東京ならではの出来事だなぁと、わたしなんぞは思うわけですがね。



ところがお店に戻った都さんを待っていたのはバッグではなく
別の再会劇なのですが、、、それは読んでのお楽しみといたしましょう。




なにしろ都さんはわたしにとって、北村作品の中で
最も親しみを感じるヒロインとなったことは言うまでもありません。
本の印象や感想には、読むタイミングというのも大いに影響しますね。

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2013年12月15日 (日)

たぶん世界一忙しい男の映画

「世界一美しい本を作る男」という映画を観てきました。

 

****************

 

 その男は世界中を飛び回っている。
見本刷りを詰め込んだスーツケースを引いて、色とりどりのiPodを携えて。
印刷所で紙を測り、色の指示を出し、写真家に予算と部数を確認し、
デザイナーに会うためファッションショーの会場へ行ったかと思えば、
インタビューに答え、絵のモデルにもなる。

世界中で、彼に自分の芸術を本にしてもらいたいと、待っている人々がいる。


****************************

 

ドキュメンタリーですが、記録映画という感じはしません。
ストーリーがあって、場面に合った音楽があって、忙しく飛び回る時間と、じっくり著者と向き合ってる時間と、自分を振り返る部分と。
モードを切り替えながらシュタイデルという人物を追っていきます。

 

 

本を作るにあたって、序文を入れるか入れないかだとか、写真集の版型や掲載点数は、編集者と相談して決めることですよね。
それから本文用紙や表紙の素材を提案したり、活版にするかどうかは、印刷屋さんによってコストもだいぶ違ってくるでしょう。どれくらい試し刷りをしてくれるのか、とか。たくさん刷ればどれだけ単価は安くなるのか、とか。

シュタイデル社はそれを全部やるのです。企画部、編集部、装丁室に印刷所まで、オールインワンの出版社。
すべてシュタイデル自身が著者と直接、やりとりをしながら決めていきます。ニューヨークでもカタールでも飛んでいきます。


「旅は好きじゃないけど、2~3カ月かかる仕事が4日で終わる。」と言いながら今日も、西へ東へ。

 

印刷所の掃除人だった父が持ち帰るさまざまな紙に触れながら育ち、17歳でシュタイデル社を立ち上げたといいます。

「出版業界の波が10年周期なら、うちの時代はもう終わり?」という不安ものぞかせつつ、「商業主義を象徴する」「悪趣味な」装丁のアイディアに嬉々として取り組む63歳。

その完全主義は、著者が写真の色についてアシスタント(?)と相談を始めれば、どんな嗅覚で嗅ぎつけたのか怖い顔で現れて、自分が来るまで待っていろと釘を刺す徹底ぶり。

かといって職人一辺倒でもなく、ベストセラーで上げた利益で芸術性の高い本を作ると公言してはばからない、商売人としての一面も見せます。

 

本を作ることに興味がなくても、「仕事」に取り組む姿勢が、そのまま彼の生き方を表現していると感じられる、かっこいい映画でした。

 

思いのほかロングランになったので、嬉しくなってもう一度観に行きました。

2回目で一番ウケたのは、ドバイの写真を見ながら話し合ってる場面で「ディズニーランド」という単語が聴こえてきたことです。
そこにあてられた字幕をみて思わず吹き出してしまいました!

 

 

 

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2013年12月13日 (金)

11月読書会part2 のご報告

書きたいことがたまっているのですが、
順番から言って、まずは
11月の読書会報告。

 

『朝四時起きですべてがうまく回りだす』池田千恵

 

『池田修三木版画集 センチメンタルの青い旗』 藤本智士 編著

 

『西日射す』小久保雅弘(写真集)

 

『はじめての手製本』『製本工房・美篶堂とつくる文具』美篶堂

 

『ぽてんしゃる』糸井重里

 

『食堂かたつむり』小川糸

 

いつも思うのですが、この蔵の街読書会のいいところは、ジャンルが偏らないところ。

 今回もバラエティ豊かです。どの本もそれぞれに話題が広がりましたが、小久保さんの写真集は、地元・栃木の街を撮っていることもあり、知ってる場所や人が写っていて、かなり盛り上がりました。


個人的には、子供のころから通っている歯医者に飾ってある絵が、池田修三の版画だったと判明し、感動。

しかもこの本の編著者が「Re:S」の藤本智士。
この人の目の付けどころとかいろんな人を巻き込むちからはすごいと思うし、やたら運がいいというか「なんか持ってる」と感じさせることがたびたび起こって、、、そのことをこれ見よがしに書くので癪に障るんですよね・苦笑。
でも気になる。
けっきょく本屋で注文してしまいました。


11月中に2回開催しましたが、スケジュールが合えば、12月も開催したいです。

決まったらまたこちらでもお知らせします☆

ではまた。

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