« 6月読書会のご報告 | トップページ | 『楽園のカンヴァス』を読んだ »

2013年7月 5日 (金)

ライターズ・イン・レジデンス と、ある本との再会

横浜へ行った時のことを。 (やっと書ける・・・)

馬車道近くの中島古書店さんで開催された、

檀原照和さん解説による【ライターズ・イン・レジデンス】講座に行ってきました。

とても興味深かったです。

◆ライターズ・イン・レジデンスとは何ぞや。

アーティスト・イン・レジデンスとか、オルガニスト・イン・レジデンスという言葉もあるようですね。

前者は、むかし教会で画家を雇い、住み込みで壁画やなどをかかせたことに起源があるのでしょうか。

後者は教会やコンサートホール専属のオルガニストのことを指すらしい。

「ライターズ…」の場合、作家に一定期間、住居や生活費などを提供して、

滞在してもらいながら執筆の支援をするシステムのこと。

大学やNPOが母体となって運営していることが多いようです。

作家自身が申請をして、原稿提出などのトライアルを受ける必要があり、

レジデンスの期間(2、3ヶ月~2年くらいが多い) や

条件(作品を仕上げること、地元イベントへの参加、講演などの義務事項)

現地までの交通費や家賃、生活費がどこまで助成されるかは、プログラムによってさまざま。

◆レジデンスに参加した日本人

欧米ではよくあるこの制度が、なぜか日本にはまだないそうですが、

アイオワ大学創作学科の国際創作プログラムに参加した日本人として

田村隆一、吉増剛造、白石かずこ、吉原幸子、中上健次、平出隆、水村美苗、島田雅彦、野村喜和夫の名前が挙がっています。

そのほか、村上春樹はハーバード大学とプリンストン大学のレジデンスに参加したことがあるそうです。

檀原さんは実際に、アメリカ・フロリダ州の《ケルアックハウス》へ視察に行かれて、その際のスライドなどもたくさん見せていただきました。

運営母体によっていろんなタイプのレジデンスがあるということは、逆をいえばいかようにも展開の可能性がありそうです。

◆栃木でもやれないかしら

わが栃木市は山本有三の出身地。

有三自身が、父の反対や経済的困窮を乗り越えて上京、進学し、作家の地位を築き上げた人物

なので、こういう、作家支援プログラムのようなものがあるとイメージ的にもいいんじゃないかと思った次第。

じつは栃木市に有三記念会という非営利法人があり、石川文化事業財団というところと連携して『路傍の石文学賞』を設立したんですが、

23回続いた後、2001年以降休止状態。そのあたりのこと、ご存知の方がいらしたら教えていただきたい。

ちなみに、どうして日本にこの制度がいまだ根付いてないかということについて、檀原さんは

出版社が、原稿を依頼した作家をホテルなどに(強制的に)滞在させて執筆してもらう、いわゆる「カンヅメ」慣例化していたり、

作家自身に執筆時の定宿があることも多かった文壇の歴史が影響しているのでは、と指摘されてました。

そういえば、流行作家=カンヅメって、いつごろまでそんなイメージあったかなぁ。最近聞かないですね。

最近では石田衣良さんのように、まるで映画のセットみたいな執筆用(撮影用?)の部屋を持っていたり、

住まいとは別に部屋を借りて「仕事場」に通ってる作家さんも多いみたいですよね。

◆本と再会

それはそうと、中島古書店さんで『ぽるとがるぶみ』(佐藤春夫訳・人文書院刊)をみつけました。

西川田の、入口に大きな本棚のあるレストランで出会い、何度も通って読破した本です。

尼僧の愛憎せめぎ合う心情が、怖さと美しさの結晶となったような文章にひきこまれてしまいます。

装丁も素敵で、函から出すと表も裏も銀箔一色。背表紙に朱で捺された書名。

いつか手に入れたいと思っていた一冊に、ここで出会えるとは・・・

|

« 6月読書会のご報告 | トップページ | 『楽園のカンヴァス』を読んだ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/204760/57725769

この記事へのトラックバック一覧です: ライターズ・イン・レジデンス と、ある本との再会:

« 6月読書会のご報告 | トップページ | 『楽園のカンヴァス』を読んだ »