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2010年5月 6日 (木)

リチの壁紙、りくの本。(『私の家では何も起こらない』恩田陸)装丁編

恩田陸『私の家では何も起こらない』

装丁買いの1冊。
まずは外観の話が続きますので、内容のほうに興味のある方は、
感想編へお進みください。

******

新刊平積み台で、どこか見覚えのある雰囲気に手が伸びた。
壁紙の真ん中に黒いランセット窓がぽっかりと開いて、
金文字の書名と著者名が浮かぶ。

これが壁紙だと、なぜわかったのか。

ハサミやティーポットなどの線画が重なってはいるが、
地の柄に見覚えがあるのだ。
くすんだオリーブグリーンにツルが伸び、青い帆立貝のような葉が並び、
赤茶けたソラマメがぶら下がっている。

これは《リチ》だ。
目黒区美術館で見た、上野リチの代表作。
かつて日生劇場のレストラン《アクトレス》の内装を手掛けたという
伝説のデザイナーのテキスタイル作品で、《ソラマメ》と名づけられている。
表紙をめくると、見返しにも、配色を変えた同じパターンを使っている。

2009年に京都と目黒で開催された巡回展は、夫である上野伊三郎(建築家)との共同展であったが、
リチの作品は、デザイン好き、テキスタイル好きの女性を中心に、大いに話題を呼んだ。
これを表紙に持ってくるなんて、大胆な。いったいだれの仕事だろう。。。

はたして、ブックデザイン《名久井直子》
そうか。ううーん、さすが。
名久井さんといえば、鈴木成一や祖父江慎と並んで、いまや引っ張りだこのブックデザイナーである。
見返しの次に、ちょっと透け感のある中表紙を挟んで、
版面の真ん中へきゅっと寄せ、おごそかに羽根ペンを戴く、ほぼ真四角の目次。
本文へ入っていくと、天地の余白が広い。
ノンブルは最初からゼロを使い3ケタ表示で、
左ページは数字を分母に、分子に章題を3行分けで載せてある。
このインパクト、この個性。

個性的といえば、祖父江さんの『深泥が丘奇譚』が思い浮かぶ。
あの奇想天外な「さかさま」装丁。

そう、この本もおなじメディアファクトリーの幽ブックスだ。
人によってはあくが強いと感じるかもしれないくらい雰囲気のある本を開くことで、
読者をとことん非日常な《異界》へといざなおうとする編集部の意気込みが伝わってくる。

これは読む前から実に楽しみな一冊だ。

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投稿: 藍色 | 2013年7月 9日 (火) 17時09分

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