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2010年3月15日 (月)

庄野文学 ~風雅講座入門編~

『星に願いを』  庄野潤三(講談社)

読めばほのぼのとした空気が流れ、穏やかな気持ちになれる本です。
小説、といってもほとんど私小説で、老境に達した作家の日常を
季節感や思い出を織り込んで、情緒豊かに描き出しています。

著者は1954年『プールサイド小景』で第32回芥川賞を受賞。
戦後の「第3の新人」と呼ばれた世代で、昨年秋、88歳で亡くなられました。

後半生は文芸誌に連載していた身辺記が、ある程度まとまると
本にするという安定した執筆活動だったようです。
わたしは以前『うさぎのミミリー』を読んで、その描写のあまりの愛らしさに
本気でうさぎを飼いたくなり、「ウサギと暮らそう」という
飼育雑誌を買ってしまったほどです。
本作では、ハーモニカが欲しくなりました。
寝る前に、庄野さんが季節の曲をハーモニカで吹き、
それに合わせて奥様が歌われるのが日課で、
終わるとふたりで「いい歌だねえ」と、作者をたたえるのだそうです。

なんといっても庄野さんの書くものには、否定的なことばが
ほとんどないところが素敵です。

庭の木に小鳥が来て「うれしい」
ばらが今年もきれいに咲いて「よかった」
ご近所さんからおいしいお土産を頂いた。「ありがとう」・・・

日記のような作品ですが、日記だからこそ、
この姿勢は大切なのではないかと思います。

ちいさなことに目くじら立てたり、他人のあら探しをするのではなく、
庄野さんを見習って、どんなささやかな幸せも見逃さないアンテナを、
いつもぴかぴかに磨いておきたいものです。

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コメント

ののじさん
こんばんは、SKYです。
本当に、日々のささいなことに対する感謝の気持ちは大切ですね。

人間はとかく欲張りなものです。

だからこそ、今よりももっとと向上して行けるのでしょう。

ただ、現状の身の回りのどんなささいなことにでも感謝の気持ちがなければ、いつまで経っても、どこまで行っても幸せなどを感じられることはないと思いますね。

投稿: SKYNET | 2010年3月18日 (木) 01時38分

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