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2009年7月

2009年7月31日 (金)

引っ越し願望

というか、ひとり暮らししてみたいです。

杉浦さやかさんの『引っ越しました』(祥伝社・1365円)を買いました。

杉浦さんはかわいらしい絵を描くイラストレーターさんです。

齢も近いので、個人的に肩入れしてます。

しかも井の頭から西荻へ、といううらやましい引っ越し経路。

そしてどんどん手伝ってくれる友達やお姉さんたちが素敵。

引っ越しを考えてる人に、、、引っ越しにあこがれてるだけの人にも、おすすめ☆

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2009年7月18日 (土)

原作『朗読者』

☆しょうかい☆

本を読む、声を出して。そこに官能的な響きを覚えるのはなぜだろう。
ちょっと古いフランス映画に「読書する女」というのがあった、
あれもただ本を読むだけの女ではなかった。
オードリー・ヘップバーンが演じた「ティファニーで朝食を」だって、
刑務所の老人に新聞を読んで聞かせる役だったが、
本当にそれだけかと疑われるのも無理はないと思わせるなにかが、
「読んで聞かせる」という行為には、ある。

ここで本を読むのは女性ではない。
年上の女性に恋した少年が、情を交わしたあと彼女に請われて本を読む。
逢瀬を重ねるたびに、彼は古典の名作から戯曲までを次々に読んでいくのだ。

女ははぜ少年に本を読ませたのか、それは物語の後半で明かされる。
『朗読者』を何の予備知識もなく読み始めて、
これが恋愛を通じた少年の成長譚だと思ったら大間違い。
映画「ビューティフル・ライフ」をラブコメディだと思うようなものだ。
ここでも戦争という歴史と、ドイツという国家とが深く重く絡んでくる。
さらには、人間が犯した罪を人間が裁くことについても、
考えさせられる作品である。

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☆ものがたり☆

15歳にして黄疸を患った少年ミヒャエル。
道端で具合が悪くなったのを介抱してくれた女性ハンナと深い仲になってしまう。
はじまりはそんな衝撃的な物語。
彼女は二人で過ごしているとき、彼に本を読ませるのだった。

ミヒャエルは黄疸による長期欠席で進学をあきらめかけていた。
しかし、彼女に「勉強しないなら会うのをやめる」と言われて奮起する。
両親や教師たちも目を見張るほどのがんばりを見せ、彼は進学を成し遂げた。
それを見届け、あるときハンナは彼の前から忽然と姿を消す。

釈然としないまま、父と同じ法学の道に進むミヒャエル。
彼は過去の罪を裁くことについてのゼミに参加し、多くの裁判を傍聴する。
第二次世界大戦後、ドイツは手探りでナチの侵した罪を裁いていった。
だれが本当の加害者なのか、自分を守るための行為も裁かれるべきなのか、
そして、過去の罪をどこまでさかのぼって裁くことができるのか。

彼はそんな法廷に被告人として出廷するハンナを発見する。
ミヒャエルと出会う前、戦時中に彼女のしたことが明らかにされていく。

不利と思われることでも、自分のしたことは正直に話すハンナ。
正当化しようとするわけでも、責任転嫁しようとするわけでもなく。

その様子を傍聴席から見守り、ハンナと過ごした日々の記憶をたどり、
本を読ませるという行為に隠された彼女の重大な秘密に気づいたとき、
ミヒャエルはそれを裁判長に告げるべきかどうか、悩む。

いかなる事情があろうとも、ハンナは裁かれなければならないのか。
周囲の者たちは彼女を利用し、自分の刑を軽くしようと策をめぐらす。
しかしハンナは罪が重くなることよりも、ひた隠しにしてきたその秘密が
暴かれることを恐れていた。
彼女を守るために、ミヒャエルは真実を暴くべきなのか。
そして彼自身、罪びとをそれと知らずに愛したことは罪なのか。

ハンナの選択も、ミヒャエルの判断も、
正しいとか間違っているとか、ひとくちにいうことはできない。
人間らしく生きることと、自分らしく生きることとの矛盾が、重く心に残る。

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「愛を読む人」観てきました。

映画を観てきました。

『朗読者』(ベルンハルト・シュリンク)が原作の、『愛を読む人』です。
原作を何年か前に読んでしまってますが、結論から言うと
わりと原作に忠実で、がっかりせずに観ることができました。

主演は「タイタニック」のケイト・ウィンスレット。
この作品でアカデミー賞を獲りました。
難しい役どころに、果敢に、かつしなやかに取り組んだという印象です。
ちょっとメリル・ストリープみたいになってきましたかね、、、
あんまり気負うと怖いおばさんになるから気をつけてほしいものです。

そしてドイツ出身の新星、マイケル役のデヴィッド・クロス。
普通っぽいけど、素人臭くない。
大げさでなく、ちゃんと表情豊かなところが期待持てます。
オーディション当時は16歳。
ラブシーンは彼が18歳になるのを待って撮影されたそうです。

舞台はドイツですが、全編英語です。
マイケルという名も、原作ではドイツ語読みのミヒャエル。
英語で撮ったのは、作品のテーマが普遍性のあるものだから、
という原作者の意向でもあったそうです。

物語をごく簡潔にまとめると、
①少年と年上女性のラブ・ストーリー。
②特殊な時代(戦時)の出来事を裁く法廷劇
③塀の中と外で続く交流
てな感じでしょうか。乱暴すぎますか。

法廷シーンのある映画は多いですが、
ドイツの裁判で、しかもホロコースト関連というのは
はじめて見たかもしれない。
日本でいえば「私は貝になりたい」みたいな裁判が、
戦後ドイツでも行われていたのですね。

原作の感想は、読んだ当時に書いたものがあるので、
あとで載せておきますので、よかったらそちらも読んでみてください。

原作には、ミヒャエルと父親とが法律議論する場面があります。
この作品のもうひとつ別の面が見えてくるでしょう。
ちなみに映画では、教授との対話がその代わりを果たしています。
この教授を演じているのがブルーノ・ガンツ。
「ベルリン・天使の詩」で人間になることを望む天使役を演じた俳優です。
マイケルら法学生に、常に疑問符を投げかけていく、味のある役どころで
ますます磨きのかかった存在感をみせています。

罪と罰。時代と法律。かなり重くて深いテーマですが、
ひとりの女性を年下のマイケルが見守るという構図によって
優しくて哀しい空気をまとわせた、上質な映画です。

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