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2008年12月

2008年12月29日 (月)

星がきれいな季節です

星空の美しさを堪能できる本を紹介します。

・野尻抱影『星三百六十五夜 秋』(中公文庫ビブロ)

明治生まれのレトロな言葉づかいが、星の話によく似合います。
文学、歴史、地理、気象、神話伝承や民俗学にまでわたる、豊富な知識に驚嘆。
なかでも漢詩の美しさが心にしみました。

著者は学生時代に小泉八雲や坪内逍遥の指導を受けたらしいですが、
もともと文才のある血筋だったのでしょう、弟が大佛次郎というのもうなづけます。

早大卒業後は、中学の英語教師の傍ら登山に親しみ、やがて星空と
それにまつわる民間伝承に魅せられていったようです。

星に関する多くの著作があり、天の民俗学者、
あるいは天の文学者と呼ぶ人もいるとか。ほかの本も読んでみたくなりました。

有名なエピソードとして、
1930年に太陽系第9惑星として発見された「PLUTO」に
「冥王星」という和訳をつけたことがあげられます。

この本がとっつきにくいというかたには、同じ中公文庫リブロの
『天文台日記』(石田五郎・著)をお勧めします。
こちらは昭和の文章なので、だいぶ読みやすいと思います。

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2008年12月 5日 (金)

くろうまブランキー/堀内誠一・画

お客様のご注文がきっかけで再会した絵本の話をしたいと思います。

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この時期になると、クリスマスプレゼント用なのか、絵本の問い合わせが増えます。
先日も、年配の女性が「くろうまブランキー」という絵本を探しに来られました。

店頭在庫がなかったのでお取り寄せすることになり、
注文伝票を記入しているときに気がつきました。
『くろうまブランキー』の作画担当が堀内誠一なのです。

堀内誠一といえば、1970年代を中心に活躍したエディトリアルデザイナーで、
日本の雑誌界では神様のような存在。
内容、文章に重きを置きがちだったそれまでの紙面に、
見た目の美しさ、ヴィジュアルという概念を持ち込んだのが彼でした。

戦後のどさくさにまぎれて14歳で伊勢丹の宣伝部に入り、
その後アドセンターを立ち上げて写真家の立木義浩を育て、
澁澤龍彦から「血と薔薇」誌の編集美術を任され、
「ポパイ」「アンアン」「ブルータス」のアートディレクターを務めた人です。

この3誌ではいまも彼の作ったロゴが使用されていますし、
かつておしゃれ少女たちのバイブルだった「オリーブ」の
あのかわいらしいロゴも、堀内さんの作品なんですよ。

私は雑誌好きなので、雑誌編集人としての仕事にばかり注目していましたが、
結婚されてからは絵本の仕事も多く手がけるようになったそうで、
この『くろうまブランキー』が、絵本デビュー作なのですね。

お買い上げの際、その御婦人がぱらぱらと中を見て
「まぁ、きれいな色遣い、、、」と、嬉しそうに言うのを聞いて、
俄然わたしも欲しくなり、すぐに補充発注してしまいました。

調べてみるとほかにも『ぐるんぱのようちえん』『たろうのおでかけ』など、
今でも人気のある絵本を描いているのです。

驚いたのは、福音館書店の『ちのはなし』。
血液のことをわかりやすく、詳しく書いてある、いわゆる科学絵本ですが、
私も小さいころから大好きで、何度も何度も読みました。

あの本を描いたのが、堀内さんだったなんて、、、
不思議な縁を感じます。

みなさんも本屋へ行ったら、プレゼントを選ぶふりをして
むかし読んでいた絵本を探してみませんか。
意外な発見があるかもしれませんよ。

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