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2008年11月 6日 (木)

ペルセポリス

こんなDVDを観ました。

イラン生まれの女の子の半生を描いた長編アニメ。
(なのになぜかフランス語)
1969年生まれの著者自身の自伝的コミックが原作で、
シンプルな絵にフランス語がマッチしたお洒落な作品。
主人公と母親の声を、実の親子である
キアラ・マストロヤンニと、カトリーヌ・ドヌーヴが
演じているというのも目玉のひとつ。

*********** ものがたり ******************
ブルースリーと、ケチャップつきフライドポテトが大好きな
マルジャンは、イランに住むごく普通の女の子。

そこに巻き起こる革命と、進歩的な親族たちの思想は、
否応なしにマルジの人格に影響を与えるけれど、
アメリカナイズされたカルチャーもまた、
抑圧された生活には刺激的で魅力的な自由の象徴だった。

革命政権下のティーンネイジャーだって、
ビージーズもアバも、マイケルジャクソンも聴いていたのだ。

やがて泥沼のイラン・イラク戦争がはじまり、
心配した母の勧めでオーストリアに留学。

厳格な寮に嫌気がさして飛び出したり、
失恋のショックで自暴自棄になったり、
あげく体を壊しかけての帰国。

長い戦争が終わったとはいえ、祖国に明るい未来は見えず、
留学中の空白がマルジを孤立させた。
孤独から逃げるように若くして結婚。
けれど心は自由を求め、くらしは行き詰まる。

悩むマルジに、離婚なんて何でもないと笑い飛ばすおばあちゃん。
背中を押されてマルジは離婚を決意。ふたたびフランスへ。
「今度はかえってきちゃだめよ。
今のイランはあなたのいる所じゃない」
というママの言葉に送り出されて・・・


********* 感想 ****************
マルジの少女時代があまりにも面白いです。
例えるならそう、ちびまるこちゃんに似てるかな。

マルジがお父さんやおじさんからイランの本当の歴史を教わったり、
空想の中で神様と会話したりするなかで、
子供のころにニュースで見ていたイラン・イラク戦争って、
そういうことだったのかと、目から鱗が落ちました。

マルジにとって英雄だった伯父さんが
獄中で作ったパンの白鳥をマルジに託す場面が
とても、かなしいけど美しい。

日本は「国家神道」で思想統一を図ったけれど、
イランはもともと女性差別の激しいイスラム教があり、
宗派間の対立もあって、さらに事情が複雑なんですね。

ちょっと成長したマルジが
街頭で売人から麻薬を買うみたいに
アイアンメイデンのカセットを買ったあとで、
シスターたちに詰め寄られて嘘八百言い逃れるところとか、
笑えるけど皮肉な感じ。

突然「ゴジラ」が出てきます。

マルジと一緒に映画を見たおばあちゃんが
「日本人ときたら、切腹と怪獣ばかり」という場面があるのです。
ストーリーには関係ないと思っていたら、
革命のことを調べるうちに、さらにその昔
クーデターで皇位についたモハンマド・レザーが
『西アジアの日本たれ』といって
石油に依存した近代化を進めたことがわかりました。
あのゴジラは、それに対する作者の皮肉なのかもしれません。

時代は最悪でも、マルジは家族に恵まれています。
なんといってもマルジのおばあちゃんが、
とってもチャーミングなのです。

生きていくためになにが大切か、ちゃんと知っていて、
外ではスカーフをかぶるけど、ユーモアと自由な心は失わない。
そして、マルジが卑怯なことをしたらちゃんと叱る。
理想的な大人です。

毎朝ジャスミンの花を摘んでは服の中に忍ばせ、
いい匂いをさせている。。。
そんな素敵なおばあちゃんになりたいものです。

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コメント

第2次世界大戦後の最長8年余りのイラン・イラク戦争でしたね。
戦争ですから、犠牲者も数多くおられることでしょう。
その体験の中、成長していく1人の女の子(女性)の姿が、読みとれるようでした。

目を向ける方向を少し変えたくなりました。

投稿: 風小僧 | 2008年11月 7日 (金) 13時59分

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