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2007年11月

2007年11月 4日 (日)

イタリアン攻略

秋だから、というわけでもないがちょっと毛色の変わったものを読んでみた。

作家はイタリア人である。

イタロ・カルヴィーノ 『魔法の庭』

なんとも不思議な味わいの短編集だった。
紛争下という独特な空気の中で書かれたせいだろうか。
ドイツ兵とかパルチザンとか、歴史的背景が今ひとつ掴めてないからかもしれない。

率直に言えばどこがおもしろいのかあまりわからない。
でも、スリルはあった。

いつ汽車が来るかわからない線路を歩くこどもたちの恐怖。
任務中の伝令を襲う、見えない敵の気配という恐怖。
こういうハラハラどきどきはきらいじゃない。
速いテンポの読めない展開に、つい吹き出すところもあった。

かわいがっている雌牛を、ドイツ兵に連れて行かれたくないだけなのに、
射撃の腕が悪いせいで村中の動物たちを巻き込んだ大騒動になってしまう話。
岩場で泣いているおばさんをなぐさめようと、いろんな魚を捕ってきてあげても
なかなか泣き止んでくれないので途方にくれる男の子の話。

不安定な政情。明日にはこの町でも軍服が闊歩しているかもしれない。
それでも毎日は淡々と過ぎ、子供は刺激を探し、大人は平穏を求めている。
ハッピーとはいえないけれど、絶望するほどでもない。

いつの時代でも誰の人生も、当人は大真面目。
だけどそれを俯瞰してみると、ときどきふっと
笑いが浮かんだりもするよね。そんな一冊。

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