2009年6月13日 (土)

『1Q84』読む前に、、、

村上春樹最新刊『1Q84』もう、ご覧になりましたか?
お読みになりましたか、ではなく。。。

というのも、うちの店ではありがたいことに、
予約分に入荷が追いつかず、
本が入ってきても店頭に並べられないのです
都内の大きな本屋さんならもう「積んで」るところがあるのかしら。

その代わり、と言ってはなんですが、
本部手配で送られてきた、あるCDを書籍売り場のレジ前に置いたところ、
これが、なぜか、売れるんですよ~。

そのCDとは、

「ヤナーチェクのシンフォニエッタ」です。

なんでも「1Q84」の中で、キーワード的に扱われている楽曲らしいです。
わたしがチラ読みした(書店員の特権。ゴメンナサイ)場面では、
ある登場人物がストレッチのBGMに使ってました。
この曲の25分という尺がちょうどいいんだそうです。
わたしなど、10分でも相当疲れると思う。。。

うちの店で置いてる演奏はいずれも25分にはちょっと足りないようですが、
指揮者によって、あるいはその時のコンディションでもテンポは変わりますからね。
村上さんはどの音源を聴いていたのでしょう?それも気になります。

ちなみに、2枚置いて、売れるたびに補充してもらうと
毎回違う演奏のCDが送られてきます。
クラシックってそういうものだから当然ですが、
自分は全く知らない曲だったので、こんなにいろいろ出ているんだと驚いてます。

まだ本が入手できてない方は、このCDを先に聴いておくと、
よりムラカミ的な気分で『1Q84』を味わえるかもしれませんね!

余談ですが、
『1Q84』発売初日、開店前に電話をかけてきて、
入荷があるかどうかを確かめて朝一番にご来店されたお客様。
よっぽど村上ファンなのかなぁと思ったら、
店頭で数ページ読んで首をひねり
「これはいいや、やめとく」と、買わずに帰ってしまわれました。。。

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2009年6月 5日 (金)

理想的な投資

みなさんとこにはもう、きましたか?定額給付金。

丸ごと貯金した人。
いつの間にか生活費に消えてしまった人。
家族全員分合わせて地デジ対応テレビを買ったり、
夏休みの旅行資金にしたり、
使い道はいろいろだと思いますが、
わたしはもちろん、もらう前から決めてました。
普段手の出せない、高い本を買うのです!

というわけでこのたびめでたく、手にいれたのが
『諸国物語』ポプラ社\6,600ナリ

去年の東京国際ブックフェアで見かけて、欲しかった本です。
これは「諸国物語」というお話、ではなく、、、
いろんな国のお話を一冊にまとめました、という本。

ラインナップは19世紀から20世紀前半を中心に、
山本有三訳のシュニッツラー『盲目のジェロニモとその兄』
森鴎外訳のストリンドベルヒ『一人舞台』
といった教科書でもなじみ深い文学者の名訳から、
『赤毛のアン』じゃない村岡花子訳のモンゴメリ作品『争いの果て』
など興味をそそる未読作品もあり、
ホフマン『砂男』は種村季弘の訳なので、
岩波文庫の池内紀訳と比べ読みなんて楽しみもある。

そんな世界文学が21篇も収録されて、1152ページ。
23.5㎝×17.5㎝、厚さはたっぷり7センチ。
安井寿磨子さんによる夢のようなイラストの装丁、化粧箱入りです♪

こんな素敵な本を枕元に置いて、
毎晩寝る前に少しずつ読んでいくことを
想像しただけで興奮します。

感想も少しずつ書きますので、どうぞお楽しみに!

 

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2009年5月22日 (金)

カタリベカフェ&ブッククロッシング in 栃木 レポート

5月19日、待ちに待った初めての栃木カタリベが開催されました。

主宰の大橋さんは前日に名古屋から東京入りしていて、
一時半ごろ栃木駅に到着とのこと。
迎えに行くと、「レモン牛乳」を飲んでいるではありませんか!
さっそく栃木名物を堪能していただいたようで(笑)

会場はハウディーズ・カフェという、
古い蔵を改造した、雰囲気のあるカフェ&雑貨屋さん。

平日の昼間ということもあり、参加者は計3名の
こぢんまりした会ではありましたが、内容は充実してました。

まずは大橋さんより、これまでのカタリベカフェの活動や
メディアに取り上げられた記事などを紹介していただき、
前日から訪れていた東京での出来事と絡めて、たくさんの本が語られました。

以下、今回紹介された本のラインナップです。。。。

  『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』内沼晋太郎
  『企画脳』秋元康
  『発想をお仕事にする人の発想術』
  『FULクラインダイサムアーキテクツ』
  『ベストオブ谷根千』

このほか、千駄木の往来堂書店で購入したという
題名のわからない、袋入りの文庫本が2冊。
これは文庫本葉書といって、『本の未来を~ 』の著者、
内沼さんのプロジェクトの一つ。 
http://www.bookpickorchestra.com/works/bunkobonhagaki.php

袋には本文の一節が書かれていて、読者はそれを手がかりに本を買うのです。
また、反対面には郵便番号やあて名を書くようになっていて、
冊子小包としてそのまま210円で郵送することもできます。
どんな本が入っているか、それは開けてのお楽しみ。。。
贈り物にしてもおもしろいですよね。

わたしはこんな本たちを紹介しました。

  *『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』米原万理
  *『場所はいつも旅先だった』松浦弥太郎
  *『魔法の庭』イタロ・カルヴィーノ
  『くろうまブランキー』堀内誠一(画)
  『インディアン居留地で見たこと』宮松宏至 
  『蒲公英草紙』恩田陸

ちなみに、*印の本は大橋さんに、
あとの3冊をもう一人の参加者に
クロッシング本としてお持ち帰りいただきましたので、
いつかどなたかの手に渡るかもしれません。。。

3人で2時間たっぷり語りました。
これからの活動のヒントになるお話がたくさん聞けたので、
今後はわたしから栃木で本読みの輪を広げていきたいです。
大橋さん、ありがとうございました!

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2009年5月10日 (日)

とちぎで本のイベントをやります!

5/19 (火) 14:00~16:00

場所:Howday’s cafe(栃木市)

*****************************

カタリベ・カフェをご存知ですか?

ひとりずつ、自分の好きな本について語る。
そこから話題が広がっていけば楽しいね。

という集まりです。

語り合った後は、持ち寄った本を交換し合う、
“ブッククロッシング”も同時にやってしまおう!
と、企んでいます。

平日の昼間なので、なかなか、、、とは思いますが、
会場となっているお店も、おいしくて体に優しいメニューと
ユーズドの家具やファイヤーキングのコレクションなどを
取りそろえた雑貨屋さんが併設されているおもしろいお店です。

ぜひごいっしょに、楽しみましょう。

詳細および参加表明はこちら。

http://fly8.jp/20090519kataribe/

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2009年5月 8日 (金)

『場所はいつも旅先だった』

おしゃれな古書店、カウブックスの松浦さん。

http://www.cowbooks.jp/top2.html

最近は『暮らしの手帖』の編集長という肩書きのほうが
メジャーになっちゃったかな。

わたしは目黒の店が好きで、ときどき出かける。
真ん中におおきなテーブルがあって、読みながらコーヒーも飲める。
店内に小さなポストがあって手紙も出せるし、
ブッククロッシングゾーンにもなっている。
古本屋として理想だと思う。

先日も目黒区美術館を観たあと、川沿いをてくてくあるいていった。
桜並木はすっかり新緑で、雨が降っていたけれどとても清々しかった。
近所に面白そうな店が並んでいるのを見るのも楽しい。

さて、肝心の、本の感想。

これは松浦さんの自伝的エッセイだという。
旅日記風な、どこまでノン・フィクションだかわからない短編集。
よくいえば素朴な、あまり洗練された感じのしない文章。
これが松浦さんなのか。

じつをいうと、松浦さんの著作を読むのは初めて。
雑誌の記事などはいくつか読んだことがあるけど、
ちょっとイメージが違うぞ。なんでだ。
やっぱりいくらか、フィクションなのかな。

若いころの放浪を書いたものとしては
ふさわしい文体かもしれない。
友人宅や安ホテルを泊まり歩き、
ときには初めて会った人の家にも滞在し、
素敵な女性と出会ったり、怖い目にあったり。
良くも悪くも、日本にいて普通に大学へ行ったり
就職したりしたのでは、
絶対に体験できなかったであろう日々。

観光ではない「旅」に憧れる人にお勧めの本。
何といっても、朝ごはんがおいしそうなのだ。

それにしても、一番ひどい目に会ったのが、
海外でなく東京だったとは、ショックだった。
だけどもしかするとこの事件がなかったら
松浦さんは本の世界に入ってなかったかもしれないので、
結果的にあれは運命だったというべきか。

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2009年5月 1日 (金)

あなたは死刑といえますか

裁判員制度が始まるから、というわけではありませんが、こんな本を読んでます。。。

『死刑基準』  加茂隆康  幻冬舎

著者は現役の弁護士だそうです。

死刑廃止論者だった弁護士が、担当した案件の相手方から逆恨みされ、

身重の妻を強姦され、胎児ともども惨殺される。

しかし逮捕された男は、強姦は認めるが殺人は頑として認めない。

事件をきっかけに、弁護士は死刑存置を強く望むようになる。

裁判の展開やいかに。

話としては興味深いけれど、小説として若干こなれていないというか、

供述調書のような克明な殺人現場の描写があったかと思うと

現実味のない外国のパーティー会場が出てきたり、

検事を目指している司法修習生の恋人が

国際的なオーケストラのコンサートマスターだったり、

妻を殺された弁護士が癌で余命いくばくもないということが分かったり。

物語の本筋から見れば飾りに過ぎない部分に懲りすぎてる。

法廷小説ならそれらしく、もっと引き締まった構成のほうが

リアリティが増したのではないか。

よく考えられた話だけに、ちょっと惜しい気がする。

とはいえ、まだ最後まで読んでいない。。。

ここまで広げた風呂敷をどんなふうに収束させるのか、じっくり読ませてもらおう。

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2009年3月17日 (火)

米原万里さんの 生きている歴史講義 (嘘つきアーニャ)

今回は、ブッククロッシングの交流会でわたしのもとへきてくれた本を紹介します。

『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』米原万里(角川文庫)

圧倒的なリアリティに打たれました。
衝撃と言ってもいいくらいです。
ここに書かれているのは、年表や教科書からは読み取れない、歴史の本当の姿です。

それぞれ異なる母国をもちながら、親の政治的思想や職業上の立場から、1960年代のプラハで同じソヴィエト学校に通っていた同級生とその家族が、その後どんな人生を歩んだのか、
大人になった米原さんが訪ねるノンフィクションです。

多感な年ごろの微笑ましいエピソード。
環境や文化の違いから腑に落ちなかった出来事。
親や母国の抱える問題と否応なく向き合いながら送った、異国での暮らしをいきいきと描きつつ、
30年もの時を経て米原さんが決行した、かつての友人たちを探す旅のドキュメンタリが見事に構成され、このまま映画のシナリオになるではと思うほどです。

音信が途絶えたことを悔やみながら、
政権崩壊や民族紛争で荒廃し、
なお緊張の続く地域にまで足を踏み入れ、
わずかな手掛かりを頼りに再会を果たした時、
米原さんの中には生きて会えた喜びとともに、
時代の流れの中でどんなふうに過ごしてきたのか
という疑問があふれます。

祖国や、かつて暮らした国を、
そしていまの状況をどう考えているのか。
ときに率直に疑問をぶつけ、
時には喉まで出かかった言葉を飲み込みながら、
友の変貌ぶりに驚いたり、失望したり、子供のころには気付かなかった複雑な事情に直面したりもします。

米原さんだからこそ書けた、珠玉のノンフィクションだと思います。
愛国心とはなにか。共産主義はどこへ行くのか。
本当の国際化とはどういうことなのか。
ニュースを眺めているだけではわからない
生きている歴史というものを考えさせられます。

ユーモアを交えた息もつかせぬ展開で、
ストーリーだけを追い、一気に読み終えてしまいました。
もういちど、こんどは読みにくいカタカナ名がいっぱいの部分も端折らずに、
中・東欧地図を傍らに置いて、各国の関係性を整理しながら読みなおしてみたいと思います。

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2009年3月14日 (土)

『アンのゆりかご』赤毛のアンの、日本の母!

『赤毛のアン』を読んだことがありますか?

子供向けの本、あるいはアニメで内容は知っていても、
この本が最初に日本語で出版された、村岡花子の訳で読んだという人は、
そう多くないかもしれませんね。
かくいう私もその一人ですが、我が家の本棚には
第1巻が昭和59年・69刷という新潮文庫のシリーズが揃っています。
母の蔵書です。
今回は、その母が絶賛した『アンのゆりかご』を紹介したいと思います。

明治、大正、昭和を生き抜いて、子供や若い女性のための良質な英文学を翻訳し、
私生活では幼い一人息子を病で喪う痛手を負いながらも、夫の大きな愛に支えられて
社会における女性の地位向上にも貢献した村岡花子の一代記。
赤毛のアンの愛読者ならずとも、特に女性にはぜひ読んで欲しい1冊です。

************************************

『アンのゆりかご  村岡花子の生涯』村岡理恵・著 マガジンハウス

花子は生まれこそ貧しかったが、父親が理想に燃えるクリスチャンで、
長女の花子にだけは立派な教育を受けさせたいと、
ミッションスクールの寄宿舎へ編入させる。
環境と教育、そして人との出会い。これが花子の人生を決定づけた。

袖の膨らんだ、すその長いドレスの婦人宣教師に囲まれ、
上流階級のお嬢様たちとともに、言葉づかいから身だしなみ、
礼儀作法までみっちり仕込まれる日々が、
グリーンゲイブルスにやってきたばかりのアンに重なる。

生涯の親友となる柳原白蓮ともここで出会い、
彼女の手引きで佐佐木信綱に短歌を習うこととなる。

この本の面白さは、ひとり村岡花子の人生にとどまらず、
同時代を象徴する多くの女性たちの生き様の片鱗にも触れられる点にもある。

皇族にゆかりのある伯爵令嬢でありながら歌人として活躍し、
25歳も年上の炭鉱王の後添えに入って「筑紫の女王」と呼ばれた柳原白蓮は
のちに若い社会主義者と駆け落ちし、新聞紙上で夫に絶縁状を発表する。

佐佐木信綱に紹介された片山廣子は花子を翻訳文学、児童文学の世界へと導いた。
鉱山事業や紡績会社の運営、さらに女子大の創立にも尽力した実業家・広岡浅子の
勉強会に誘われ、最先端の講義を聴く機会もあった。
花子と同い年でやがて婦人参政権獲得運動へと心血を注いでいく
市川房枝も、ともにこの勉強会に参加していたという。

思えば華々しい時代である。
どんなに頑張っても決められた枠からはみ出すことを許されない男性社会の中で、
男女平等を目指し、互いに練磨し、次の世代を育てていこうとする女性たちの
情熱が、文学界にも経済界にもみなぎっていたことが伝わってくる。

もちろん、花子の家庭のことも細やかに描写されている。
若き日の、実らなかった初恋。
聖書印刷で一代を築いた村岡家の跡取り・儆三との、複雑な事情を抱えた上での結婚。
関東大震災で印刷工場が潰れ、自分の稼ぎで夫を支えなければならなくなった時期。
愛息をわずか6歳で疫痢に奪われた悲しみ。

やがて日本が第二次大戦に参戦し、
外国人宣教師たちは帰国せざるを得なくなる。
絶望の中で、婦人宣教師が花子に託した1冊の本。それこそが、
のちに日本中の少女を虜にする『赤毛のアン』の原書
「アン・オブ・グリーン・ゲイブルス」だった。

英語が敵視される中でひそかに訳しつづけ、
度重なる空襲にあっても守り抜いた原稿は、
戦争が終わってなお、出版に至るまで7年を要した。

生活の基盤たる家庭に、理想と幸福の灯が絶えないことを願い、
おおきなひとつの仕事を成し遂げた女性の人生を、本書は丁寧に伝えてくれる。

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2009年3月 3日 (火)

隠れ美術館・岩下記念館

「岩下の新生姜」って、ご存知ですか?
中村雅俊さんがCMに出演されてたので、
ちょっとは記憶にある方もいると思いますが、
岩下食品は栃木のお漬物会社です。

その岩下が栃木駅の近くに記念館を建てていることは、
地元の人でもあんまり知らないと思います。

毎日その前を通っていても気づかないとか、
あるのは知ってるけど入ったことないという人がほとんどでしょう。
「岩下記念館」だから、会社の歴史とかお漬物博物館的なものを
イメージされている人も多いのではないでしょうか。

会長が2003年に旭日中綬章をいただいた記念に建てたそうで、
2007年には増築し、美術コレクションの常設展示を公開するにいたったとのこと。
いずれにしろ、行ったことないというのはもったいない!
わたしも初めて行ってみて、びっくりしました。
もちろん、会社の歴史を展示したコーナーもありますが、
(これはこれでけっこう面白い、、、)
美術品のコレクションが膨大なのです。

内容はいささか玉石混交なところもあるかもしれません。
とはいえ濱田庄司がある、島岡達三がある、
バーナード・リーチも板谷波山も魯山人もある。
東郷青児あり前田青邸あり、速水御舟に小杉放庵、 横山大観まで。
もちろん地元ならではの琅カン(王偏に干)斎&小カン斎の竹工芸も。
松本哲夫に絹谷幸二なんてのもありましたね。。。
とにかくジャンルも年代も盛りだくさん。

これで入場料は300円(栃木市民なら150円、65歳以上は無料)と、
那須あたりの施設ミュージアムに比べたら格安です。
お近くの方、そうでない方も、ぜひ一度訪れてみてください。

〒328-0034
栃木県栃木市本町1-25
℡:0282-20-5533

開館:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜、年末年始
http://www.iwashita.co.jp/museum/index.html

なお、企画展は展示替えのためお休みになることもありますので、
お出かけの前には念のためお電話か、ホームページでチェックを。

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2009年2月23日 (月)

栃木の歌麿

栃木市内の「蔵の街美術館」で、待ちに待った歌麿の「女達磨図」が公開されています。

この「女達磨図」は、市内在住の女性が所有していたもので、一昨年、歌麿の真作と鑑定され話題を呼びました。
歌麿といえば浮世絵(版画)ですが、この「女達磨図」はめずらしい肉筆画なので、よく見る美人画のイメージとは全然タッチが違います。彩色も顔の白粉と被った衣の赤のみ。あまり大きくもないし、一見地味に思われるかもしれません。
しかし、歌麿研究史上これはとても重要な作品と位置付けられるかもしれないのです。。。

歌麿が活躍したのは、文化風俗が幕府の取り締まりとのいたちごっこに明け暮れていた時代でした。
寛政2年に大規模な禁令が出され、歌麿の豪華本は発禁となり、版元の蔦屋重三郎も処罰されます。
その後ほぼ1年間、歌麿は作品を全く発表できない状態を余儀なくされるのです。
しかし、そんなことで筆を折るようでは浮世絵師の名折れとばかり、寛政4年ごろからは、華美な衣装を描かずに上半身だけを描き、表情で魅せる「大首絵」を発表するようになります。
これが大ヒットとなり、「当時三美人」や「辰巳路考」などの名作が生まれるのです。

じつはその「空白の一年間」に、歌麿は栃木に滞在していたのではないかという説があるそうです。
栃木の豪商・善野伊兵衛の依頼によって「雪月花」とよばれる大幅の肉筆画三部作のいずれかを描いていたのではないか、というものです。

今回お目見えの「女達磨図」もこのころの作と思われ、それまでの浮世絵にはなかった女性の上半身のみという構図は、「大首絵」の最初期のものではないかと考えられているのだそうです。

北斎や広重にくらべて身分が低いことから出生なども明らかでなく、謎が魅力でもある歌麿。じつは栃木にゆかりの深い人物だということに、とてもわくわくさせられています。

また「雪月花・三部作」のうち、「月」と「花」はアメリカの、それぞれ別の美術館に所蔵されているそうですが、「雪」は昭和23年に銀座松坂屋で3日間展示されて以来、どこにあるか公にされていないのです。
NHKの取材班が、栃木に「雪」があるのではないかと調べに来て、「女達磨図」の発見につながったのだとか。
いつか「雪」も見てみたいものです。。。

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